「 中小企業が大企業よりも賃金が高くて、引き合うかどうか」「 大企業の発展は、中小企業の強固な経営において初めて裏書きされる」松下幸之助4

 「 中小企業が大企業よりも賃金が高くて、引き合うかどうか」という問題がありますが、」

「 大企業の発展は、中小企業の強固な経営において初めて裏書きされることになろうかと思うんであります。」

 「 これは私(松下)は経営のしかたいかんだと思います。それによっては、大企業よりも高い賃金を払って十分にやっていけるような道を新たに見いだすことができるのではないかという感じがいたします。」

 「 中小企業は私(松下)どもの会社が取引している関係もあり、中小企業の経営の発展というものは、私(松下)ども自身の企業にとっても大きな問題で、無視することができない状態におかれております。一般大企業の発展は、中小企業の強固な経営において初めて裏書きされることになろうかと思うんであります。そういうことで、大企業の立場からいきましても中小企業の安定と発展は大事な問題だと、今日までも見守ってまいりました。今後さらに努力をしなくてはならないと思うんであります。」

「 中小企業と人材確保」「”中小企業は賃金が安い”か」 「 これは来るべきものが来た 」 松下幸之助

 それは「 どういうことかと申しますと、今までは、中小企業は賃金が多少でも安い、安いことが大企業と競争する場合に、一つの有利な条件になるんだ、だからともに競争が成り立っていくんだという見方が強かったと思うんです。

また中小企業の経営者みずからも、そういうところに一つの逃避と申しますか、安心感をもっておられた。」

  ところが、「 ここへきまして、それがすっかり変わった。安い賃金では人を採用することができない、ということで、今までの考え、今までの経営観をすっかり変えないといけない。」

「 中小企業と人材確保」「一大躍進期に来ている」 松下幸之助2

 松下幸之助は、人手不足問題を「 どう解決していくかが、中小企業の経営がうまく進展していくかどうかという問題につながっていると思 」うといっています。

 「 もちろん大企業としても、みずからの方針、その他いろいろ考えねばならない問題があろうと思いますが、特に中小企業の立場において考えられますことは、こういう問題に直面することが、一大躍進期に来ているということではないかという感じがするのであります。」

松下幸之助 『中小企業と人材確保』 講演 昭和35年(1960)11月20日於:大阪商工会議所

「 中小企業と人材確保」 「人が足りない 」   松下幸之助 1

 松下幸之助は、1960年頃の講演より


 「 中小企業は大きな転機に来ていると思います。それはどういうことかと申しますと、人の問題であります。今(1960年頃)、各事業とも多忙になってまいり、それぞれのかたちにおいて、事業を拡張しなくてはならない状態に直面しているわけでありますが、このことに直面して、いちばんの問題として考えられるのは人が足りないということだと思うのです。」

 「 大企業もこの(人が足りない:ブログ者記)問題に取り組んで努力をしなくてはならないのでありますが、特に中小企業においてはいっそうこの問題があろうかと思います。」

 「 いい人をうまく採用できるということ自体が事業を伸ばすということになるわけでありますが、それができないと、注文がありましても、応じることができないということになってきます。」

 「 従来から、中小企業と大企業との違いはいろいろございますが、一つは中小企業は、大企業よりも賃金が安い。そのために、経営上、それがプラスとなって、大企業と対峙していける、という考え方もあったのではないかと思います。」

 しかし、それが「 ここへまいりまして、賃金が安い、安くないということは問題ではなく、人そのものがあるかどうかが大きな問題になってきていると思うのです。」

 (松下幸之助 『中小企業と人材確保』 講演 昭和35年(1960)11月20日於:大阪商工会議所

"小"企業のトップ・マネジメント2 ドラッカー

規模の唯一の基盤は管理構造2 ドラッカー

 「 彼("小"企業のトップ:ブログ者記)は、概して、その人たちの次の任務がどんな任務になりそうかをわきまえている。」

 「 そのことはもちろん、これら基幹要員が小集団であることを意味している。肩書や職位のいかんにかかわりなく、この集団が、12人ないし15人を超えることはまずもってありえない。」

 「 最大限その程度の人数しか、一人の人間には本当に知り、本当になじみになることができないからである。」

(P.F.ドラッカー「マネジメント『課題、責任、実践』」下巻ダイヤモンド社刊1974年3月翻訳初版の日本語版より)

”小”企業のトップ・マネジメント  ドラッカー

 「規模」の正真正銘の唯一の現れは、経営陣と管理構造である。


 「 ”小”企業は、トップ・マネジメントの仕事だけをやり、…………職能部門の仕事のどれにも従事しない人物、そういう人物を”せいぜいのところ”一人しか必要としていない企業である。」

 「 企業は、トップ・マネジメントの課題全部が一人の人間にまかされているからといって、『 小さい 』とは限らないのである。

 「それは不適当な構造をもつ大企業かもしれないのであ」る。

逆に、

 「 大きなトップ・マネジメント構造をもっていながら、それが誤って組織化されている”小"企業もある。その事例は枚挙にいとまがない。」

 「 ある企業が、『小さいか』 『 中規模か 』、それとも『 大きいか 』を、かなりの確度をもって示す基準が、一つだけある。」


  「 純粋な"小"企業では、トップの一人の人間が、あれこれ記録を調べたり、同僚にたずねたりしなくとも、基幹的な成果に責任を負っている組織内の少数者が具体的にだれとだれであるかをよくわきまえている。」

 「 彼は、それら少数者の任務をよくわきまえている。」

 「 彼は、その人たちの経歴と、以前の任務と、その任務でどの程度の業績をあげたかをよくわきまえている。 」

 「 彼は、その人たちに何ができるかをよくわきまえている。」 

 「 彼はまたその人たちの限界をもわきまえている−−少なくともわきまえていると思っている。 」

 (P.F.ドラッカー「マネジメント『課題、責任、実践』」下巻ダイヤモンド社刊1974年3月翻訳初版の日本語版より)

「 中古品で我慢する 」3  【筋肉質経営の原則】 稲盛和夫氏

  「 製造設備を購入する場合も、どうしても現場の技術者は新品の機械を買いたがる」ようですが、稲盛氏は、「 『 機械や設備は、もし中古で間に合うのなら、それで我慢をせよ 』と言ってきた 」そうです。「 性能が優れた機械があっても安易に買うことは許さず、現在ある機械をいかに使いこなすかを徹底的に考え、創意工夫をこらすよう教育してきた 」といっています。。