松下幸之助と事業部制 2 「 こっちの事業部で儲かったからといって、この利益を他の事業部にもっていくということは絶対にしない。」

 「 ……そこまで徹底してやるということになりますと、事業部長というものは、ほんとうはまったくの経営者でなければいかんわけです。人も使い、製品も開発していく。」

 「 そこの事業部長はまったく会社の社長と一緒です。なぜかというと、資金の心配もしなくてはならん。販売の責任をやはりもたねばいかん。人を使っていく責任をもたないといかん。金を借りれば金利も払わなければいけない。そして、きちんと決算して成果を出さないといかん。こうなりますから、責任が非常に重いといえば重いです。 」

 「 まあしかし、そうしなければ、とても私(松下:ブログ者記)自身で何もかも見ることができないと、最初に思ったのがきっかけでした。それが今ずっと習慣になってやっておるわけです。 」

 「 これには二つのねらいがあったわけです。一つはいまお話ししたように、事業部というものをつくってやるということによって、成果がはっきり分かってくる。責任経営になってくる。だから事業部そのものも、はっきりよしあしが検討される。」

 「 こっちの事業部で儲かったからといって、この利益を他の事業部にもっていくということは絶対にしない。その事業部自体で利益をあげなくてはならないのです。」