”小”企業のトップ・マネジメント  ドラッカー

 「規模」の正真正銘の唯一の現れは、経営陣と管理構造である。


 「 ”小”企業は、トップ・マネジメントの仕事だけをやり、…………職能部門の仕事のどれにも従事しない人物、そういう人物を”せいぜいのところ”一人しか必要としていない企業である。」

 「 企業は、トップ・マネジメントの課題全部が一人の人間にまかされているからといって、『 小さい 』とは限らないのである。

 「それは不適当な構造をもつ大企業かもしれないのであ」る。

逆に、

 「 大きなトップ・マネジメント構造をもっていながら、それが誤って組織化されている”小"企業もある。その事例は枚挙にいとまがない。」

 「 ある企業が、『小さいか』 『 中規模か 』、それとも『 大きいか 』を、かなりの確度をもって示す基準が、一つだけある。」


  「 純粋な"小"企業では、トップの一人の人間が、あれこれ記録を調べたり、同僚にたずねたりしなくとも、基幹的な成果に責任を負っている組織内の少数者が具体的にだれとだれであるかをよくわきまえている。」

 「 彼は、それら少数者の任務をよくわきまえている。」

 「 彼は、その人たちの経歴と、以前の任務と、その任務でどの程度の業績をあげたかをよくわきまえている。 」

 「 彼は、その人たちに何ができるかをよくわきまえている。」 

 「 彼はまたその人たちの限界をもわきまえている−−少なくともわきまえていると思っている。 」

 (P.F.ドラッカー「マネジメント『課題、責任、実践』」下巻ダイヤモンド社刊1974年3月翻訳初版の日本語版より)