松下幸之助の”部下の意見をたやすく聞く”マネジメント  

 松下幸之助なら、「事を決定するにあたって、その人(部下:筆者記)の意見をたやすく聞」くには、どのように会話していたか。

 『今度こういう問題が出たが、もしきみならばどうするか。忌憚なく言ってくれ』
 『忌憚なく言わせてもらうならば、私だったらこういたします』
 『なるほどそうか。そうだな』
 
 「その人の口から言ってもだれも聞かないけれども、社長の口からそう言うと、『なかなかよろしいなあ』というようなもんですな、早くいえば、そこが日本のいいところであり、悪いところでもありましょうが、まあそんなものだろうと思います。」

 「それをそういうように解釈しないと、せっかくの宝の持ち腐れということになってきて、会社全体の力というものが伸びない。」
 
 「私(松下)は自分の体験として、そういうことに出くわす場合があるのです。これはどうも自分では分からんなという場合があります。人間だからあるのが当たり前ですわ。」

 「皆さんもあるだろうと思う。そういう場合に、いま申しましたような方法でですね、『きみの意見はどうや。きみならばどうするか』『私ならこうします』という意見が出てきます。」

 「なるほど聞いてみると”このほうがいいな、よしそのとおりやってみよう”とこうなる。」
 
 「しかし、なかには、『彼がこう言うたからそうする』と言うたのでは、面白くないなと感じる人間も出てくるわけですわ。(笑)そういうときには、『いろいろ考えた結果こういうようにするのだ。』」
 
「『これがいちばんいいと思うが、皆さんどうや』『社長、それはよろしいですな』と。これでうまくいくというわけですな。」

(松下幸之助助言集第巻 PHP刊「経営者の責任感」日本青年会議所ゼミナール
にて1963.8.21 )