上司による誤った方向づけ     ドラッカーより

 ドラッカーは、その著書*で「 〔 管理者をして方向を誤らせる 〕危険性は、経営陣の階層的な構造によって激化される 」といっています。

 *(P.F.ドラッカー「 マネジメント 」下巻ダイヤモンド社刊(1974年5月翻訳初版より) 


●「 上司の言動や、不用意な言葉や、習慣や、さらには癖までも、部下にとっては、計算され、計画され、意味のあるものと受けとられてしまいがちである 」といいます。

「 ふだん上役は、人間関係の重要性を説いてい 」ます。

 しかし、「 部下を間違った方向に進ませてしまう経営者も、決して故意にそうしているわけでは 」ありません。 上司は、「 部下の工場長たちにとって最も重要な課題は人間関係であると、本気に考えている 」のです。ですが、自分( 上司 )が「 実際にも通じている人間 」であると思われたいと感じているからであ 」ります。ないしは「 部下の工場長と『 仕事の話 』ばかりすることによって、彼(部下:筆者)らが抱えている問題に通じていることを示したいと考えているからであ 」るのです。また「 彼(上司)が経理部への報告書類のことを強調するのは、それが部下たちと同じく自分( 上司 )にもやっかいな代物であるからにすぎ 」ません。あるいは「 彼(上司 )の手に負えないもめごとを、コントローラーとの間に起こしたくないだけなのかもしれ 」ません。

 「 この種の問題を解決するには、管理者とその上司の目を共に、上司からの要求にではなく、職務そのものからの要求に向けさせるような経営陣の構造にすることが必要であ 」ります。

 「 事実、今日の企業経営にくわしい人間ならばだれでも、経営者が部下をして方向を誤らせるのを避けようとして、自分(上司)の態度をかえたために、かえって悪夢のように恐ろしいほどの誤解や混乱を生み、それまでかなりうまくいっていた〔部下との〕関係をまずくしてしまったといった例をいくらもご存じのはずであ 」ります。「 すなわち経営者のほうが自意識過剰になってしまい、部下と気軽につき合えなくなってしまうからである 」いわれます。

●「 部下の方向づけを誤らないようにしょうとして自らの行動を変えたために、それまでの満足すべき関係が不自然で誤解に満ちたものになってしまったという状況は、よく目にする 」とドラッカーはいっています。  

http://d.hatena.ne.jp/sakagami-k/20110331/1301531666

http://d.hatena.ne.jp/sakagami-k/20101218/1292635654