「 中小企業と人材確保」 「人が足りない 」   松下幸之助 1

 松下幸之助は、1960年頃の講演より


 「 中小企業は大きな転機に来ていると思います。それはどういうことかと申しますと、人の問題であります。今(1960年頃)、各事業とも多忙になってまいり、それぞれのかたちにおいて、事業を拡張しなくてはならない状態に直面しているわけでありますが、このことに直面して、いちばんの問題として考えられるのは人が足りないということだと思うのです。」

 「 大企業もこの(人が足りない:ブログ者記)問題に取り組んで努力をしなくてはならないのでありますが、特に中小企業においてはいっそうこの問題があろうかと思います。」

 「 いい人をうまく採用できるということ自体が事業を伸ばすということになるわけでありますが、それができないと、注文がありましても、応じることができないということになってきます。」

 「 従来から、中小企業と大企業との違いはいろいろございますが、一つは中小企業は、大企業よりも賃金が安い。そのために、経営上、それがプラスとなって、大企業と対峙していける、という考え方もあったのではないかと思います。」

 しかし、それが「 ここへまいりまして、賃金が安い、安くないということは問題ではなく、人そのものがあるかどうかが大きな問題になってきていると思うのです。」

 (松下幸之助 『中小企業と人材確保』 講演 昭和35年(1960)11月20日於:大阪商工会議所