決算書の読み方 キャッシュフローをどう読み、どう使うか?

1 経営の実態が鮮明に「営業活動によるキャッシュフロー」がマイナスになったら要注意です。 

  損益計算書(PL)、貸借対照表に加えて、「第三の財務諸表」と呼ばれるのが「キャッシュフロー計算書」です。経営実態を読み取るのに便利です。

2 企業のリスクを見分けやすくなります。

 損益計算書で利益が出ていても、キャッシュフロー計算書の「営業活動によるキャッシュフロー」がマイナスになっていたら、対策を打ちましょう。
 損益計算書上の利益にかかわらず、実際にはお金が入ってこない様子がそこで見えていました。

3 損益計算書は一定のルールに基づいて会計上の損益を算出したもので、お金の増減をそのまま表してはいません。しかし倒産の多くはお金が回らなくなることが原因なので、お金の増減の実態を示すキャッシュフロー計算書をあわせて見ることが大事なことです。

4 利益は営業部門の強引な販売の計上や会計基準の変更などで表面的なかさ上げもできますが、「キャッシュフロー計算書は現金の増減という事実」を表しています。

5 キャッシュフロー計算書の構造を見ましょう。入ったお金は加え、払ったお金は差し引いて作ります。その過程で損益計算書の利益と差が出ます。代表的なのが「減価償却費」。設備の老朽化が進んだ分を会計上の費用とみなすものですが、これらからは、お金の支払いは発生しません。償却費の分だけ利益の数字より残っているお金が多いので加算します。

6 売り上げに計上しているのにまだ入金されていない売掛金など「売上債権」は、実際はお金が入っていないので増加分をキャッシュフロー計算書から差し引きます。在庫など「棚卸し資産」の増加も、その支払の分だけお金が減っているので差し引きます。こうした増減の結果、お金は増えたのか減ったのかを示すのが「営業活動によるキャッシュフロー」です。

7 税引き前利益はプラスでしたが、売上債権や棚卸し資産が大幅に増えていれば、これらを引いた「営業活動によるキャッシュフロー」はマイナス。結果的には「現実にはお金が回らなくなっていた」ということです。