「既存のものは、古くなる」 (「創造する経営者」P.F.ドラッカーより)

日に新たに筍(まこと)に日に新たに、日々に新たに、また日々新たなり。(大学)

 
「 エグゼクティブが、時間の大半を今日の問題に使っているなどという言い方 」は、遠回しの表現にすぎないとドラッカーはいい、「正しくは、昨日の問題に使って 」しまっているといいます。

 さらに「 過去の修正に 」しまっているともいいます。

 「 これは、ある程度、避けられないこと 」であるのと、「 今日存在するものは、すべて昨日の産物で 」もあるともいいます。

 「 今日の事業、すなわち、資源、活動、組織、製品、市場、顧客は、すべて過去における意思決定と行動の結果であ 」ります。

  しかも、「 ほとんどの人間が、昨日の事業とともに育って 」きています。

 その人たちの「 姿勢、期待、価値観は、昨日つくられている 」といわれます。

 したがって、その人たちは、「 昨日の教訓を今日使おうと 」しています。
 
「 事実、あらゆる企業が、昨日起こっていたことを正常とみなし、そのパターンに当てはまらないものは、異常として退ける傾向を強く 」もっています。

  しかし、「 いかに賢明かつ前向きで勇気のあった意思決定や行動も、それらが普通の行為となり、日常の仕事となったころには、世の中の流れに遅れたものになっている 」とドラッカーはいっています。
 
「 形成されたときにはいかに正しい姿勢であったとしても、その姿勢を身につけた人々が意思決定を下す地位に昇進するころには、その姿勢を形成させた世界は、もはや存在しなくなっている 」といわれます。

 「 物事は、予想したとおりには起こ 」りません。「 未来は、常に違うものになってい 」ます。しかし、「 将軍たちが以前の戦争に対して備えたがるように、企業人も、昨日のブームや昨日の不況に対処しよう 」とするでしょう。

 「 既存のものは、常に古くな 」ります。「 あらゆる意思決定と行動が、それを行った瞬間から古くなり始める 」といわれます。

 したがって、「 通常の状態に戻そう 」とすることは、「 常に不毛 」であり、「 通常とは、昨日の現実にすぎ 」ないということです。

 「 エグゼクティブの仕事は、昨日の通常を、変化してしまった今日に押しつけることでは 」ありません。

 「 企業と、その行動、姿勢、期待、製品、市場、流通チャネルを新しい現実に合わせて変化させることであ 」るとドラッカーはいっています。

  (「創造する経営者」P.F.ドラッカー ダイヤモンド社新訳初版 1995年3月刊p17)