経営者が「 行動を変えたために 」、→「 意識過剰になると、」スタッフとの「 心安い関係も失われ 」ます。

「 部下の方向づけを誤らないようにしょうとして自らの行動を変えたために、それまでの満足すべき関係が不自然で誤解に満ちたものになってしまったという状況は、よく目にする」とドラッカーはいっています。

「 意識過剰になると、心安い関係も失われ 」ます。

「 なんとかしてくれ。前は何をしてほしいのかわかったが、いまでは想像するしかないなどとこぼされる。」

 上司の「 気ない言葉、習慣、あるいは癖まで、部下にとっては、計算され意図された意味あるものと映る 」らしい。
 
 上司は「 建前では人間関係が重要だといっているが、その実、部屋に呼びつけて言われるのは間接費の削減だ 」という。

 「 『 ポストを手に入れるのは、経理への報告をうまく書ける者だ 』というたぐいの文句が、あらゆる階層で聞かれ 」ます。

 でも「 そのような状況では、仕事の成果があがるはずはない 」のです。

 「 当の間接費の削減もおぼつ 」きません。

 「 組織とマネジメントに対する信頼は失われ、敬意も失われ 」ます。

 もちろん、

 「 そのように部下の方向づけを間違う上司も、わざとしているわけではない 」のです。

 「 人間関係こそもっとも重要であると 」だれも思っているでしょう。

「 間接費のことをいうのは、実務的なところも見せなければならないと思うからであ 」ります。

 あるいは、「 現場の話をすることによって、部下の抱えている問題を知っていることを示せると思うからであ 」ります。

 「 経理に出す数字を重視するのは、」彼(経営者)自身が、「 部下たちと同じように悩まされているからであり、あるいは経理ともめたくないからであ 」ります。

 「 だが部下には、そのような理由はわか 」りません。

  彼ら(部下)が「目にし耳にするのは、間接費の削減や経理への数字だけである」からです。

  「 この種の問題の解決には、組織に働く者の意識を、それぞれの上司にではなく、仕事が要求するものに向けさせることが必要である 」とドラッカーは、いっています。

 「 経営書の多くが説いているように行動パタ−ンや姿勢を強調しても、解決は得られ 」ません。

  逆に、「 人間関係に意識過剰となって、問題を大きくしてしまうおそれがある 」といっています。

 (チェンジ・リーダーの条件P.F.ドラッカー著 ダイヤモンド社刊から)
(現代の経営 第11章 P.F.ドラッカー 新訳 ダイヤモンド社刊から)