「経営のための会計学」 2 「経営の実態をあらわす唯一の真実を示すものでなければならない」

稲盛氏の経営の原点と会計

 京セラは生まれたばかりの零細企業だったので、「 一つでも判断を間違えば会社はすぐに傾いてしまう。」稲盛氏は「 何を基準に判断すべきなのか、いかにして経営にあたるべきなのか、夜も寝られないほど思い悩んだ 」といわれています。

 もし、「 経営を進めていくうえで、理屈に合わなかったり、道徳に反することを行えば、経営は決してうまくいくはずがない。そうであれば経営の知識はないのだから、すべてのことを原理原則に照らし判断していこう 」と。

 「 経営のあらゆることについて、一から理解し、納得してから判断しようとしたので、経営とはいかにあるべきかという経営の本質をつねに考えるようになった 」といわれます。
 

  稲盛氏が「 知りたかったのは、会計や税務の教科書的な説明ではなく、会計の本質とそこに働く原理なのだが、経理の担当者からは、そのような答えを往々にして得ることができなかった。だから氏は「『 会計的にはこのようになる 』と言われても、『 それはなぜか? 』と納得できるまで質問を重ねてい 」ったといわれています。

(「稲盛和夫実学−経営と会計 日本経済新聞社刊より)