「経理取引前の取引を重視する」「一般にいう取引と経理上の取引」
経営は実務です。毎日毎日、企業の役員と従業員が具体的かつ実践的に行動をしています。
企業の中では、一般取引、損益計算上の取り引きが数多く発生しています。この中から、まず、a、b、c、d四つの取引みてみましょう。
a 製品の受注……注文がとれたこと
b 製品の売上……売ったこと
c bの売上債権の回収……売掛金の回収
c、貸倒引当金の設定……売ったものの債権に貸倒れのおそれのあるとき引当て準備するまず、一般には、aだけが、”経理上の取引"とはいわれません。
ところで、
”一般にいう取引"とは
→[ [a+b]これと"経理上の取引[b+c+d]と比較しますと、bはどちらの取引にも属しています。bは、”一般にいう取引”でもあり、"経理上の取引"でもあります。
取引を経理面から考察するときには、bとcとdの取引がとりあげられ、その仕訳が経理の出発点となります。重要な経理の仕事は、正確な記帳業務に着目すれば、まず、経理の入口は、経理上の取引[bとcとd]の正しい仕訳です。
この正しい仕訳の重要性は、もちろん重要ですが、この仕訳が経理記帳の入口であると考えるために、経理部門の業務の中に、aに属する業務を入れない考え方が定着しています。
実際の経営では、b、c、dはもちろんですが、それ以上にaの取引が重視されます。
なぜなら、aは会社で最も重要な業務の一つである販売業務が含まれ、aなくしては、bもcもありえないからです。企業内でaにかけるエネルギーは、b、c,dにかけるそれをずっと上まわります。