常と変と養生と  養生訓巻第一総論上27より

 変を、災害にたとえますと、

「 およそ事には<常>と<変>とがある。常のときには常を行ない、変にのぞんでは変に応ずればよいのである。」

 「 平常こと無きときは、身を大切にして命をたもつのは、『常』に応ずる道である。」

 人の「 道は時宜にかない、事変に対応することがよい。たとえていえば、夏は薄いひとえものを着て、冬は厚い着物を重ねて着るようなものである。いつも同じだと考えて、同じやり方にこだわってはならない。」

 「 常のときに身を養って頑健にしておかないと、大事にのぞんで命をすてて強く戦うことは、弱いものにはできないであろう。だから常のときによく気を養っておれば、変にあたって勇気を出すことができるのである。」

講談社学術文庫 養生訓より)