震災後と総資本回転率(総資産回転率)(回転数)

集計対象は大手の製造業。(日本経済新聞朝刊6/2 "分析 ニッポン株式会社3月決算から")

 日経新聞が集計した大手104社の総資産回転率の単純平均は1.08回と、1年前に比べ0.1回上昇したと報告されています。
 
 全社の総資産を合計すると1年前とほぼ同じで、売り上げ増の恩恵を受けたことがうかがえます。ただ回転率の上位に限ってみると、総資産の圧縮と売り上げ増を両立して、回転率を高めたようです。

日野自動車は前期の設備投資を抑えた。「固定資産の減少で、総資産も7%減った。一方、トラックなどの海外販売台数は過去最高を更新。売上高が2割増え、総資産回転率が上昇した。」

② コスモ石は原油価格の上昇で棚卸し資産が増加したが、手元資金を使って有利子負債を減らした。

富士通円高の影響で減収になったものの、有利子負債を削減した効果で総資産回転率は上昇した。

④戦略的に在庫を滞留させないようにしている業種も目立つようです。典型例が自動車の組み立てを担うトヨタ単体だ。取引先から生産計画に見合った部品をその都度調達し、組み立て後の完成車を顧客にいち早く納品するジャスト・イン・タイム方式を徹底した。
⑤車体メーカ−では震災も総資産回転率が上昇する一因だった。3月末かけて自動車の生産が大きく落ち込み、受取手形売掛金が軒並み減った。1位のトヨタ車は売の上げが減ったのに、総資産回転率は上昇した。

 必要な時に、必要な量の部品や原材料を機動的に調達できる仕組みはこれまで日本の自動車産業などの強みとされてきた。

 だが震災で専用の半導体などの生産が止まり、部品などの供給網が寸断するど、影響は広範囲に広がった。

 企業は今後、経営効率を大きくそこなわずに、災害や資本市場の混乱などの環境変化に柔軟に対応できる均衡点を探っていくことになりそうだ。

1(1) トヨ車     3.49
2(2) 関東自     3.19
3(3) カルソカンセ 2.38
4(10) 産車体     2.05
5(4) トヨタ紡織 1.95
6(6) コスモ石 1.75
7(7) JT     1.73
8(14) 雪印メグ 1.73
9(15) 日野自     1.72
10(9) 日ハム     1.67
11(5) 森永乳     1.67
12(11) 明治HD     1.56
13(8) AOCHD 1.54
14(12) 富士通 1.50
15(16) 出光興産     1.45
16(13) ダイハツ 1.41
17(22) 三菱自 1.39
18(18〉 ブラザー 1.35
19(20) 富士重 1.33
20(26) マツダ 1.31