「 そう見ることが正しいか、それを危険と見ることが正しいかは、そのときの経営者なり、会社の幹部の見識によるものだと思います。 」 松下幸之助 

 「 製品をつくって発売したいというように志を立てたときに、それを遂行し、成功せしめる実力がどこにあるか、その実力があるかないかということを、」松下幸之助は「 詳細に検討して 」いたようです。そうして、「 そこに 無理があれば、これはやってはならない。」 しかし、「 これはどうしてもやりたいのに会社に実力がないという場合には、しからばその足りない力どうしてつくるかということを考え 」ていたようです。

 「 資金の面であれば銀行と相談する。」 銀行が「 それは松下さん、非常に大事なことであるから、ぜひやりなさい。引き受けましょう 」と言って「 太鼓判を押してくれると、資金不足の面は銀行の援助によって整う。 」「 あるいは技術が足りない、なんとか技術を結集してやろうと思ってもなおかつ足りないのであれば、その足りない技術は、ほかから求められないか 」ということを検討していた。

 しかし、「 技術を求めるにあたって、あまりに高くつくという場合もある。したがって、実力はつくけれどもその代償があまり高いから、弱体にな 」ります。そうすると、「 その技術はとぼしいけれども、これは買ってはならないんだということになります。」
 「 その代償があまりに高いからこれはマイナスになる。 」「 遺憾千万であるけれども、これは今やるべき時期でないということで、我慢してやめる。 」

 「 おおむねそういう反省をして、お互いの会社はやっているだろうと思いますが、」松下幸之助も「 そういうようにやらなければならないということでやってきたので、大きな失敗がなかったと思 」うと語っています。

 「 そう見ることが正しいか、それを危険と見ることが正しいかは、そのときの経営者なり、会社の幹部の見識によるものだと思います。」
 「 やはり良識のある判定に任さなければならないと思いますが、少なくともそういうことを検討しなければならないと思います。そういうようにできなければ、いっそやらないのがいちばん安全だと思うんです 」と語っています。

 (松下幸之助発言集第1巻PHP刊より)