会計と会社法 任意積立金の取崩 手続きと会計処理

●議事録は、どのような議案で対応するのか?

目的積立金の目的取崩は?

 役員退職金の支給に備えて役員退職積立金を積み立てることがあります。目的を定めた任意積立金ですので、目的積立金といいます。

 この目的積立金の目的に従った取崩ですが、目的に従った取崩である以上、株主総会の決議は不要です。

 取締役会で決議したうえで、仕訳は上記と同じように、繰越利益剰余金を相手勘定として行い、決議の日の次に到来する決算期に係る株主資本等変動計算書に(役員退職積立金の減少と繰越利益剰余金の増加として)表示されます。


●この任意積立金の取崩ですが、会社法452条の規定する「剰余金の処分」に該当しますので、株主総会に付議して承認のうえ行うことになります。その際、「剰余金の処分の件」という議案を総会に付議しますが、増減少する剰余金の項目と金額を議案に明記する必要があります。

第○号議案 剰余金の処分の件

剰余金の処分に関する事項

減少する剰余金の項目およびその額   ×××円


会計処理は?

 (取崩)
 
  目的積立金   ××× / 積立金目的取崩額 ×××


 任意積立金の内容により、会社法の手続きが以下のように異なります。

 税特別措置法上の準備金(圧縮積立金等)

 法令または定款の規定により剰余金の項目に係る額の増加または減少をすべき場合には、会社法第452条の株主総会の決議を経ないで行うことができるとされています。そのため圧縮積立金等については、税法に定める要件を満たし、会社が圧縮等の税務上の規定の適用を受ける意思がある場合には、決算手続として(積立または取崩)を行います。

   • 会社法 第452条
   • 会社計算規則 第153条第2項第1号、第2号